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稲場圭信の研究室 Keishin INABA

大阪大学大学院教授(人間科学研究科):専門は共生学。地域資源(寺社等宗教施設と学校)と科学技術による減災が近年の研究テーマ。日本最大の避難所情報、未来共生災害救援マップ(災救マップ)開発・運営

利他的行動研究受講生へ

今回の優秀グループノートは、「グループかつーん」に決定しました。皆さん、次回も頑張って下さい。

宿題
・人間行動学科推薦図書で以下の書籍をかりて読むこと。
  Altruism in New Religious Movements
必須:10頁 7行目から11頁3行目
更に:7頁8行目のMethodologyから19頁7行目まで
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「質的データの分析」講義の重要点です。
質的データの分析

■社会科学におけるパラダイム・シフト
知のあり方や社会的現実の質にまで方法論的な検討を要請
・変動する社会構造内の個人に焦点
・当事者の経験の主観的な意味を重視
・個人の経験から社会や文化の諸相や変動を読み解く

 シンボリック相互作用論
 社会構築主義
 エスノメソドロジー

■分析・認識・理解の方法
グランド・セオリー(総合理論・誇大理論);演繹法

グラウンデッド・セオリー
(データ密着型理論:理論の発見あるいは生成);帰納法

質問紙調査では、理論や仮説からひきだされるカテゴリーをもとに調査票の設問の文章を構成する(演繹)

質的調査では、出来事や経験が持つ意義を反映するフィールドノーツをかくことで帰納的に作業。⇒データの解釈という目的のためにカテゴリー化

■フォーマル・インタビューの手順
①事前の下調べ(対象のバックグラウンドなど)⇒不明点
②質問項目の確定
③アポの取りつけ
 手紙(ファックス、メール)その後、電話
 自分身分所属、連絡先
 調査の全体の意図、仮説
 対象とした理由
 質問内容、項目、ポイント
 インタビューの人数、時間
 公表の際の形態
④インタビュー実施
 質問は簡潔に
 2人がベスト(機材の操作、相手のとの関係、質問項目のもれチェック)
 2台のカセットかIC(許可をとる)
 メモをとる
⑤インタビュー記録の作成、聞き取りノート、テープ起こしの記録
 なるべくすぐにする
 1時間の聞きとりは、400字つめ40枚、16、000字程度
 テープ起こしは、5倍から8倍の時間がかかる。
⑥インタビュー記録の分析


■コーディング
・聞き取りノート、テープ起こしの記録、フィールドノートの分析:プロセスについて、出来事、出来事への意味付与、人のタイプ、行為、あいさつなどにも注意。
(調査前、調査中にある程度の枠組みができる場合もあるが、常にグラウンデッド・セオリー(データ対話型理論)の立場から、分析的なカテゴリーをデータと適合するようにコーディングする。上記の作業手順を踏まないと、見落としが多くなる。発見がなくなる。

 ・分類・グループ分け
 ・見だし化(大・中・小)
 ・全体の構造明確化

これを繰り返し、適用範囲を広げ、統合していく。しかし、帰納法であると同時に、演繹法でもある。

■フィールドワーク論文、報告書を書く
・事例の選択:(テーマの再確認、なにがいいたいのか)
繰り返されるパターンの象徴的なものである場合、日常おきまりの場合、興味深い場合も。同一テーマやパターンの中のバリエーションなどにも注意。

・記述法
①統合的記述法(「」などで分析文章、記述文章に入れる。)
②分離式記述法(インデントで引用をわける。根拠の後の分析。場合によっては長い引用で、分析もなく、場面に語らせることも)
③併用型
 例(稲場圭信「ボランティア、利他主義、絆の気づき」、樫尾直樹編『アジアのスピリチュアリティ―精神的基層を求めて』、2006年2月 勉誠出版 166-177頁)

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