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稲場圭信の研究室 Keishin INABA

利他主義・市民社会論、ソーシャル・キャピタルとしての宗教に関する研究、宗教社会学:::稲場圭信(大阪大学大学院教授) Keishin INABA(Ph.D.)'s site for the study of altruism, civil society and religion as social capital.

研究課題と社会学的想像力

講義のこぼれ
ミルズ『社会学的想像力』鈴木広訳(紀伊国屋書店1965年)より:

「自分の意思でしているつもりの生活が、実は個人の力ではいかんともしがたい全体社会の構造そのものに生じる、さまざまな変化によって支配されている」(p.3)

このミクロな場面とマクロな構造とをつなぐこと、その力が、社会学的想像力です。つまり、
「社会学的想像力を所有している者は巨大な歴史的状況が、多様な諸個人の内面的生活や外面的生涯にとって、どのような意味をもっているかを理解することができる。」(p.6)

ということです。

「現代にあっては、社会構造は一般に一つの政治的国家のもとに組織されている。権力との関係から考え、また他の多くの興味ある条件について考えても、社会構造の最も包括的な単位は国民国家である。国民国家はこんにち世界史における支配的な形態となっており、したがって人間の生活のなかで主要な比重をもつ事実となっている。」(p.177)

この構造は、グローバル化が叫ばれる現在においても、基本的には失われていないでしょう。研究において、国家という枠組みで制度を比較することは重要です。

「もしわれわれが現代社会の構造における動態的変化を理解しようとするならば、変化の長期的展開を確認した上で、いかなるメカニズムのなかでその展開動向がひきおこされ、社会構造が変化していくのかを問題としなければならない。」(p.199)

「われわれが歴史を研究するのは、しばしば歴史を排除するためであるということを認めなければならない」(p.202)

「われわれは、『過去からの継続』としてある事象を『説明する』よりは、『なぜそれが持続してきたのか』を問わなければならない。」(pp.202,203)

「各時代各社会は、それを理解するために直接『歴史的要因』に準拠する必要があるかどうかという点において、それぞれ同一ではない。それを理解するために『歴史的過去』がただ間接的にしか関連をもたないような、ある時代のある特定の社会の歴史的性質もありうるからである。」(p.204)

現代社会の人間行動や現象の研究の場合、
(1)10年区切りで歴史を遡って歴史的要因を探究する(100年くらいは遡ってみましょう)
(2)そして、一度それらを脇において、現在の現象を社会学的想像力でみる
(3)上記を繰り返しの後、現代の同時代の様々な現象を近年の20年くらいのスパンのなかでみる

私は、人間行動や社会現象を考える場合に、上記のような分析スタイルを基本的に理想型としています。比較は重要な視点ですので、(3)に重点をおいています。時間的な制約から、あるいは、研究内容によっては、(1)の部分を戦後や、近接20年のスパンにしてしまうことも多いです。反省点でもあり、凄まじい勢いで変動する現代社会の課題発見における利点でもあります。

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