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稲場圭信の研究室 Keishin INABA

大阪大学大学院教授(人間科学研究科):専門は共生学。地域資源(寺社等宗教施設と学校)と科学技術による減災が近年の研究テーマ。日本最大の避難所情報、未来共生災害救援マップ(災救マップ)開発・運営

利他的行動研究受講生へ

今回のグループノートは、皆、上出来です。3グループが拮抗しており、甲乙をつけるのが難しいですが、優秀ノートは「グループさくら」に決定しました。皆さん、次回も頑張って下さい。

「フィールドワークの技法」講義の重要点です。

■フィールドワークとは
「野外調査」、「現地調査」:もとは人類学
進化論的人類学、進化主義に対する反発 ⇒ 機能主義

機能主義:制度や慣習の機能を、文化または社会との関連においてあきらかにする

研究対象の社会に出かけ、長期間その社会の人々と生活をともにし、さまざまな体験をとおして集めたデータを民族誌(エスノグラフィー)の形に書き上げる

都市調査、生活調査、工場調査、NPO調査、企業調査
社会科学はいずれも現実の社会を対象:「現場」(フィールド)との接点が重視される

(テムズ河の風:イギリス留学フィールドワークエッセー)

人に会い、話を聞く、観察する、できごとの現場に居合わせて観察

■フィールドワークの調査過程
初段階:文化・集団の骨組み(諸制度、諸規範)をあきらかにする。
(当事者によって定形化されていない場合が多い。それらが現れてくる具体例を多く集め、骨組みをつくる)

第2段階:ある諸制度、慣習が実際に働くあり方、規範に対する当事者の具体的な従い方、例外が生じる理由など

第3段階:制度や規範に対する当事者の考え方、感じ方、意味づけ(神話、伝承、などから価値観を明らかにする)

■なぜ、フィールドワークが必要か

みずから現場に身を置き、体験、観察するなかで、直感や感性を磨く

機能主義をこえて
 意味やシンボルを問う、解釈学的な分析、記述を重視
 当事者の視点、共感的・内在的理解

「なぜ」、「どうして」という素朴な疑問をもつ
・先入観なしの観察力
・社会を対象に思いをめぐらす想像力
・社会現象について記述する表現力

■調査方法
   量的(定量的)方法  質的(定性的)方法へ
      (サーベイ)  (事例研究)
調べられる項目  少     多
対象者      多     少

質問紙調査(アンケート)、インタビュー、参与観察、

トライアンギュレーション、マルチメソッド

■フィールドノーツ
・フィールドでのメモ帳(現場メモ)
・まとめたノートブック(清書版フィールドノーツ)
・聞き取り記録
・調査日記

主観的な印象を記録するのはよいが、その根拠となる視覚的な情報を書いておく

メモを取る
・なるべく人目につかないところでメモ
・ミーティングなどえ、追加メモ
・気づきをメモさせて下さいと説明

◎現地を離れたら、その日のうちにフィールドノートブックに書き込む
 メモ書きから、文章化、ストーリ化(フレームワークによる固定化に要注意)
 メモ書きは保存しておく

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