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稲場圭信の研究室 Keishin INABA

大阪大学大学院教授(人間科学研究科):専門は共生学。地域資源(寺社等宗教施設と学校)と科学技術による減災が近年の研究テーマ。日本最大の避難所情報、未来共生災害救援マップ(災救マップ)開発・運営

『利他主義と宗教』刊行

『利他主義と宗教』稲場圭信(著)弘文堂が刊行されました。



研究者に加えて、世の中のひとに広く読んでほしいと願い、値段を安くすること、読みやすい文体を心がけましたが、これまでの研究のエッセンスはつめました。ご参考になることがあれば、うれしいです。

すでに本書の感想を頂戴しております。ありがとうございます。名前をふせて、いくつかご紹介させて頂きます。


・大変示唆に富んだ内容で、当財団の次回の社会調査のご参考にさせていただきたいと存じます。宗教系NGOの活動をされている方々にも、ご一読をおすすめしようと考えております。(財団理事)

・一つ一つが身体に入ってくるような深い課題として受け止めています。震災の年の暮れに、われわれの歩むべき行方にも新たな方向性をいただいた気がいたします。出来る限り、周囲にも紹介させていただきます。(僧侶)

・東日本大震災に関連する調査もふまえ、またこれまでのご研究の蓄積の中からうまれた御著作で、大変興味深い。(宗教学者)

・全体が優しい文体が貫かれており、大変読みやすそうなご著書ですね。宗教と社会貢献というテーマを考える上で、ヒントとなるアイデアが一杯詰まっているという印象をもちました。(宗教学者)


・稲場さんらしい筆致が読みやすい良書です。ソーシャルキャピタル、無自覚の宗教性、まるごとのケアといったキーワード(宗教学者)

・これまで書かれたものを分かりやすくまとめ直されたのですね。多くの読者を得ることと思います・・・。(宗教学者)

・たいへん多くの示唆をいただきました。(僧侶、作家、学者)

・「利他」という大乗仏教の真髄を、グローバルな場で研究を貫いてこられた稲場さんの、この状況でのお仕事に、敬意を表します。目次を拝見し具体的実践の力強さに裏打ちされ、理論的奥行きのある説得力に満ちていると感じました。(ジャーナリスト)

・共感を覚えました。良いものをタイムリーに発信してくださったと感謝しています。(神父)

・社会運動への宗教的アプローチにおいても、また、このテーマをめぐる学術的研究においても、それを進めるための「方法」の難しさを痛感してきました。ご高著からその手がかりを探りたいと思います。(宗教学者)

・利他主義という観点から掘り下げたご考察はたいへん示唆に富んだもの・・・(宗教者)

・わかりやすく利他主義のありようにせまっていますね。東日本大震災が身近な関心となっているときだからこそ意義のある出版だとおもいます。(宗教学者)

・帯を見ると「震災本」かと思われがちですが、中身はこれまでの研究の蓄積がコンパクトにつまった本です。(宗教学者)

・英語の著書の翻訳的な内容かと勝手に予想していたのですが、これまで書かれてきたものを中心に、東日本大震災後の状況も踏まえた内容となっており、おどろきました。
一つのテーマを追究することの重みを実感いたしました。(宗教学者)

・研究と実践、行政と市民運動、学界と宗教界、諸宗教関係など、異種の出会いがある、難しい領域での仕事が、よい方向に進むには、中心になる方が、稲場さんのような温厚で、包容的で許容度が大きいことは、たいへんありがたいことと思います。(宗教学者)

・具体的な事例が参考になります。日本の事例の紹介がやや月並なのみ比べ、国外の事例の紹介は躍動感があります。これは対象のもつパワーの差でしょうか?(宗教学者)

⇒私の応答:国内と国外の紹介の温度差について、私自身は指摘されるまで気がつきませんでした。対象のもつパワーというよりも、海外だとディタッチメントもしやすく、その分、思い切って書ける一方、国内の事例は抑え気味なってしまうのかもしれません。被災地に関しては、未だに先が見えない状況で、被災者のことを考えると自然と慎重になってしまうのだと思います。

・多くのフィールドでの実践やリサーチから、「思いやり」や「共感縁」の創出に、宗教の積極的な使命を見出そうという強い意志を感じました。第四章で扱われている「日本人の意識構造」「日本人の宗教性」などの、やや実体論的な議論には、今日では多くの批判にさらされている問題点も多いと思われますが、そうした批判への対応も聞いてみたいと感じました。(宗教学者)

⇒私の応答:ご指摘頂きました点、重要な課題として受けとめております。日本人の精神的古層、集団主義的な精神性など、哲学、宗教学、人類学からも、文化ステレオタイプである、科学的根拠がない、といった指摘があります。一方、社会的行為・社会行動には、社会的に構築された日本人像を背負って行動する、「世間」を気にする心理が働き行動するということもあります。このような論争の存在を確認した上で、「つながり」や「おかげさま」の感覚から無自覚の宗教性を理論的に論じて今後の研究のための視座を提示しています。欧米のような教会参加や宗教実践とは異なる概念「無自覚の宗教性」を使って、ボランティア実践との相関を見るなど、変数として操作可能なものとするために尺度開発が必要ですが、今後、計量社会学の専門家たちと研究を進めたいと思っております。

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