稲場圭信の研究室 Keishin INABA

利他主義・市民社会論、ソーシャル・キャピタルとしての宗教に関する研究、宗教社会学:::稲場圭信(大阪大学大学院教授) Keishin INABA(Ph.D.)'s site for the study of altruism, civil society and religion as social capital.

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被災地における宗教施設・宗教者の災害救援・復興支援活動の調査報告(2012年3月4~7日)

被災地における宗教施設・宗教者の災害救援・復興支援活動の調査報告(2012年3月4~7日)

■サンガ岩手・吉田律子さんの傾聴活動(岩手県大槌町)
 自治会長の奥さん「津波てんでんこは、生き残った人たちへの慰めの言葉。皆てんでんこに逃げていない。家族を心配し、戻って津波にさらわれた人もいる。そして、色々な事情の中で、避難してきた人がいる。助けられなかった、助けられた、そういった色々な思いを抱えながら生きていく」
 吉田さんはじっと耳を傾け、入居者の方々が語られたことを大切に拾い上げ、共感と応援の言葉をさりげなく投げかけられていた。入居者の方が吉田さんを「一本筋が通っている」と表現されるように、信仰に基づく揺るぎない支援の姿勢は、入居者の方たちにも伝わり、お互いの信頼関係が築かれていると感じられた。

■「わらべ地蔵を被災地へ」プロジェクト冨田睦海氏
「自分自身も仏師として、わらべ地蔵づくりは「ものに気持ちをこめる」ということを見つめる良いきっかけになった。普段から言葉では「気持ちをこめて」と言っているが、改めて考えることができた。自分が作り上げた仏像について「大事にされるように行っておいで」「自分の手から放すのが惜しい」…そんな気持ちが“愛着”であり、気持ちをこめるということなのだということを見つけさせてもらった。このプロジェクトは“愛着”がひとつのテーマだと思う。」

■松島瑞巌寺「わらべ地蔵開眼供養」「東日本大震災物故者一周忌法要」
 開眼供養における仏師、冨田睦海氏の挨拶は、飾らない、心のこもったものだった。被災地の外から何か支援をしたいという思いを率直に涙声で語った。支援する側の思いが強いとの見方もできるかもしれないが、その思いは被災地の方々に伝わったであろう。わらべ地蔵を受け取った被災者である一人の中年女性が「本当にありがたい」と言葉少なに語ってくれた。
 当日開眼された1560体のわらべ地蔵。被災者へ心を寄せてボランティアたちが、それぞれに、まさに思い・願いを込めて取り組まれたのだと思うと胸があつくなった。一つの祈る縁(よすが)をもとに、僧侶、スタッフ、ボランティア、現地の方々の心がつながった。心だけを切り取った「心のケア」はありえず、思いを形にした様々な取り組みが被災地の方々の心にも伝わり、「心のケア」につながる。
 開眼供養の前日、わらべ地蔵開眼にむけて30名以上の僧侶が準備をしていた。心うたれるものがあった。ボランティアたちが、自分が心を込めて刻んだ像には愛着がわくが、それを他者のために自分の手元から離す。わらべ地蔵を刻んだボランティアの誰もが抱く思い。その思いとともに、わらべ地蔵が津波で子を無くした親御さんのもとに、大切な家族を失ったご遺族のもとに届けられる。子を亡くす悲しみ、大切な人を亡くす悲しみ。何年かかるかわからないが、愛別離苦が少しでも癒されるように願っている。

■共生地域創造財団・川浪剛氏
 夏以降、1500世帯の仮設住宅、120世帯の被災住宅に物資を配ってまわっている。10回以上通えば、被災者の方といろんなことを話してくれるような関係性ができる。「お茶のんでいかい?(お茶飲んでいきませんか?)」と言われ、自然と会話が生まれる。被災者の方は、そのようなときに、津波のことや家の修復のこと、費用のことなどをお話される。そうやって聞いたことから、他の支援機関につなぐこともある。こうした経験から、「物資を通じた心のケア」に近づいてきたな、と感じている。物資がコミュニケーションツールとなって、「丸ごとのケア」への足掛かりになっている。

■亘理聖書キリスト教会・熊田康之牧師
「ボランティア活動の背景には、隣人愛の教え、隣人が困っていたら助けるのは当たり前、恵みによって支援活動をさせていただいている、という気持ちがある。キリストを模倣するように、自分が身代わりとなって、誠実に活動させていただこうという思いがある。」「行政もここ5カ月ほどは見ない。社会福祉協議会も見ない。ある程度ボランティア活動はやり終え、後はお金を出して委託してやってもらおうという感じなのではと思う。
 しかし、ボランティアが来てもやることがない、というわけではない。まだまだボランティアをやりたいと言う人はいるが、その受け皿がない。コーディネーターがいないだけである。実際はやることはたくさんある。地域の人々とつながりを持つことで、いろんなことを教わることも多い。その中で、ボランティアができる場を提供してもらっている。やってあげているのではなく、共に活動していくという気持ちが大きい。このように、地元に根付いてニーズにこたえていくことが、教会の仕事なのではないか。」

調査にご協力くださいました皆さまに感謝申し上げます。

詳細な報告書は以下(PDF)

大槌町で継続的に傾聴ボランティア・支援活動をしている吉田律子さんからご連絡を頂きました。仮設住宅のおばあちゃんたちも報告書を読んで下さり、喜んでいたとのこと。おばあちゃんたちが手芸で作った品、軍手のぬいぐるみは私の娘たちの友達になっています。「復興とは、一番先に被災者の心のケアではないでしようか」という吉田さんは、これからも寄り添いの活動を継続されるとのことでした。

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被災地における宗教施設・宗教者の災害救援活動の調査報告 修正

被災地における宗教施設・宗教者の災害救援活動の調査報告(2011年9月27~30日)
の間違い等を加筆修正しました。以下です。

・宮古市の善林寺様の聞き取り内容の記述を一部修正
・山田町の瑞然寺様の宗派を「曹洞宗」から「日蓮宗」に修正

お詫びして、訂正いたします。

なお、両寺院様にご連絡させて頂き、お詫び申し上げました。
現地での今の状況も教えて下さり、また、春以降の訪問のお約束をしました。

今週末は、大槌町などを回ります。


なお、報告書の修正版は以下にあります。

http://altruism.blog56.fc2.com/blog-entry-237.html

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