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稲場圭信の研究室 Keishin INABA

大阪大学大学院教授(人間科学研究科):専門は共生学。地域資源(寺社等宗教施設と学校)と科学技術による減災が近年の研究テーマ。日本最大の避難所情報、未来共生災害救援マップ(災救マップ)開発・運営

宗教と利他主義研究:「思いやり格差社会」の到来

(日本宗教学会第65回学術大会、2006年9月17日発表の要旨:原題『宗教と利他主義:現代社会の新たな動きの分析』)

 現代社会に生きる人びとの心と行いに「思いやり格差」が生まれている。時には自分を犠牲にしてまでも他者のために行動をする人、利他主義の実践者。少しの時間でも他者のためにボランティア活動をする人。自分の利益と豊かな老後だけを考える人。日本という国で日本国民から得た収益、それを高い税金で取られてはたまらないと海外に拠点をうつす企業、法人、資産家。利潤をあげ、自社のブランドを守るためには、消費者の安全をないがしろにし、隠蔽工作を繰り返す企業。お蔭様やお互い様といった言葉を忘れ、自分のことしか考えない自己実現や成功者という言葉に酔いしれる実業家。経済格差は問題ではあろうが、次の世代への橋渡しとしての大人の責任を考えると、利他主義、「思いやり格差」の方がより根本的で、重要な問題である。 【“宗教と利他主義研究:「思いやり格差社会」の到来”の続きを読む】

世界宗教者平和会議

 世界宗教者平和会議(WCRP)の第8回世界大会が、8月26日から29日まで京都国際会館で行われた。約100カ国から、仏教、キリスト教、イスラームなど諸宗教の指導者ら2000名以上が集い、紛争解決、平和構築、持続可能な開発について、宗教者の役割と具体的な実践を討議した。国際機関やNGOの代表者も多数参加し、パートナーシップを模索している。宗教組織だけでなく、京セラ、エルメスなどの企業や政府も資金援助しているWCRPの大会だが、私は研究者枠で招待され参加した。 【“世界宗教者平和会議”の続きを読む】