稲場圭信の研究室 Keishin INABA

利他主義・市民社会論、ソーシャル・キャピタルとしての宗教に関する研究、宗教社会学:::稲場圭信(大阪大学大学院教授) Keishin INABA(Ph.D.)'s site for the study of altruism, civil society and religion as social capital.

挨拶は思いやりのはじまり

バスの中でのことです。今朝、私が下車するひとつ前のバス停で、30人ほどの学生が降りました。降車の際、何らかのお礼の挨拶をする学生は10人ほどでした。「ありがとうございました」、「ありがとー」、運転手さんのほうを見て言う人、ほとんど見向きもせずにぼそっと言う人、様々です。

運転手さんは、ひとりひとりに「ありがとうございました」「ハイ、ありがとー」と声をかけていました。

私はというと、次のバス停で、バスカードを入れる機械の前で躓きました。恥ずかしい・・・。しかし、何食わぬ顔で「ありがとうございました」、そして運転手さんも、何事もなかったように「ありがとうございました」と。

高齢者が躓いたら、あの運転手さんはきっと声をかけたことでしょう。しかし、今朝の場合には、照れくさいであろう私のことを気遣って、何事もなかったように応じる、何もしないことにも思いやりがみいだせます。

もしかしたら、運転手さんは、私が躓いたことに気がつかなかったのかもしれません。しかし、思いやりの行為として良いように解釈することは、良い思い込み!? そんな些細なことで幸せになれます。

「利他行ネットワーク論」再び

もう10年近く前に書いたものですが、「利他行ネットワーク論」に関する論点をここにアップします。詳しくは以下の論文をご参照下さい。

稲場圭信「現代宗教の利他主義と利他行ネットワーク」『宗教と社会』第4号 1998年7月 153-179頁

要旨:本研究は、日本の現代宗教における利他主義に焦点をあてて筆者が提示した理論的枠組み「利他行ネットワーク(the Network of Altruistic Practice):他者を思いやり、他者のために善行を実践する人々のつながり」に関する研究である。新宗教の道徳思想及びその世界観について、島薗進が提示した「和合倫理」と対馬路人らが提唱した「生命主義的世界観・救済観」を検討した上で、分析概念「利他行ネットワーク」を用いて現代宗教信仰者の社会に対する意識、利他主義を考察し、利他行ネットワークの行方を展望した。

さらに: 【“「利他行ネットワーク論」再び”の続きを読む】

研究課題と社会学的想像力

講義のこぼれ
ミルズ『社会学的想像力』鈴木広訳(紀伊国屋書店1965年)より:

「自分の意思でしているつもりの生活が、実は個人の力ではいかんともしがたい全体社会の構造そのものに生じる、さまざまな変化によって支配されている」(p.3)

このミクロな場面とマクロな構造とをつなぐこと、その力が、社会学的想像力です。つまり、 【“研究課題と社会学的想像力”の続きを読む】

「人間行動」探究の道を進みだした皆さんへ

行動発達論コース2回生へ:
「フィールドワークの技法」講義内容との接続を自分で見つけ出して下さい。
(解釈学的転回、パラダイムシフト、フィールドノーツ、トライアンギュレーション、etc.)

ミルズ『社会学的想像力』鈴木広訳(紀伊国屋書店1965年)の「知的職人論」から:

・「知性の職人はその職能の完成に向かって探求する自己そのものを形成する。」(p.257)

・「知的な作業のなかに生活経験を利用し、たえずそれを吟味し解釈することを学ばなくてはならない」(p.257)

・「君は適切なファイルを備え、自己省察の習慣を発達させることによって、自己の内面的世界をめざめさせておく方法を学ぶであろう。ある出来事や観念に強く感銘したならば、君の精神を素通りさせてはならない。」(p.258)

・「ファイルに含まれる項目は、個人的な註記、書物からの抜萃、文献事項、企画概要などがある。」(p.260) 【“「人間行動」探究の道を進みだした皆さんへ”の続きを読む】

新刊『社会調査から見た少子高齢社会』

社会調査から見た少子高齢社会金子勇/著、ミネルヴァ書房

量的調査法と質的調査法による8年間の調査。社会調査法を駆使した最新データ分析にもとづき人口減少時代という社会変動、日本社会の行方を解明した1冊。

目次:
第1章 「少子化する高齢社会」の社会学
第2章 少子化研究と世代共生の福祉コミュニティ
第3章 日本社会の家族変容
第4章 QOL研究と高齢者のエンパワーメント
第5章 社会創新と高齢エキスパート
第6章 高齢者の生きがいとライフスタイル
第7章 情報化のなかの地域福祉
第8章 コミュニティモラールの三都市高齢者比較
第9章 高齢者人材育成事業に関する評価の構造

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利他的行動研究受講生へ

今回のグループノートは、皆、上出来です。3グループが拮抗しており、甲乙をつけるのが難しいですが、優秀ノートは「グループさくら」に決定しました。皆さん、次回も頑張って下さい。

「フィールドワークの技法」講義の重要点です。

■フィールドワークとは
「野外調査」、「現地調査」:もとは人類学
進化論的人類学、進化主義に対する反発 ⇒ 機能主義

機能主義:制度や慣習の機能を、文化または社会との関連においてあきらかにする

研究対象の社会に出かけ、長期間その社会の人々と生活をともにし、さまざまな体験をとおして集めたデータを民族誌(エスノグラフィー)の形に書き上げる

都市調査、生活調査、工場調査、NPO調査、企業調査
社会科学はいずれも現実の社会を対象:「現場」(フィールド)との接点が重視される

(テムズ河の風:イギリス留学フィールドワークエッセー)

人に会い、話を聞く、観察する、できごとの現場に居合わせて観察

■フィールドワークの調査過程
初段階:文化・集団の骨組み(諸制度、諸規範)をあきらかにする。
(当事者によって定形化されていない場合が多い。それらが現れてくる具体例を多く集め、骨組みをつくる)

第2段階:ある諸制度、慣習が実際に働くあり方、規範に対する当事者の具体的な従い方、例外が生じる理由など

第3段階:制度や規範に対する当事者の考え方、感じ方、意味づけ(神話、伝承、などから価値観を明らかにする)

■なぜ、フィールドワークが必要か

みずから現場に身を置き、体験、観察するなかで、直感や感性を磨く

機能主義をこえて
 意味やシンボルを問う、解釈学的な分析、記述を重視
 当事者の視点、共感的・内在的理解

「なぜ」、「どうして」という素朴な疑問をもつ
・先入観なしの観察力
・社会を対象に思いをめぐらす想像力
・社会現象について記述する表現力

■調査方法
   量的(定量的)方法  質的(定性的)方法へ
      (サーベイ)  (事例研究)
調べられる項目  少     多
対象者      多     少

質問紙調査(アンケート)、インタビュー、参与観察、

トライアンギュレーション、マルチメソッド

■フィールドノーツ
・フィールドでのメモ帳(現場メモ)
・まとめたノートブック(清書版フィールドノーツ)
・聞き取り記録
・調査日記

主観的な印象を記録するのはよいが、その根拠となる視覚的な情報を書いておく

メモを取る
・なるべく人目につかないところでメモ
・ミーティングなどえ、追加メモ
・気づきをメモさせて下さいと説明

◎現地を離れたら、その日のうちにフィールドノートブックに書き込む
 メモ書きから、文章化、ストーリ化(フレームワークによる固定化に要注意)
 メモ書きは保存しておく

新刊『ミッションマネジメントの理論と実践』

ミッションマネジメントの理論と実践―経営理念の実現に向けて田中 雅子 (著)、中央経済社

従業員の生きがいを創造する質の高い経営とは。経営者へのインタビューをもとに経営理念浸透の方法を明らかにする。

掲げた経営理念が、その内容のごとく浸透し、それが仕事や制度と整合性をもち働く人々を動機づけるというミッションマネジメントの基本が、はたして組織という巨大枠組みの中で正しく機能しているのか。

今、企業・組織に必要とされる視点を提示する1冊。

目次:
第1章 ミッションマネジメント考察
第2章 経営理念の本質と浸透
第3章 ミッションマネジメント実践企業の経営者の特徴(事例研究)
第4章 理念浸透の方法と具体的指針(事例研究)
第5章 モチベーション理論と理念浸透方法
第6章 ミッションマネジメントの実現に向けて


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「オルタナティブな研究への招待」受講生へ

文化行動特論受講生へ

「霊性問題の歴史と現在」4月17日(報告者:M1 山口有美)の論点です。

スピリチュアリティとジェロトランセンデンス理論
・離脱理論の捉えなおし
・メタ理論的パラダイムシフトへのシフト(スピリチュアリティ概念への接続)
・ジェロトランセンデンスの3つの次元における項目
 とスピリチュアリティ概念の重なりあい

◎コメント:重要な視点
現在、エイジングと宗教性・スピリチュアリティについて、私(稲場)が構築を構想中の「宗教老年学」、「スピリチュアル・ジェロントロジー」にキー概念が多分に含まれている。


・伝統医療のスピリチュアリティ
 ローカル性とグローバル性の問題
・スピリチュアリティの発見(アジアと西欧の視点)

・思想的混迷時代:価値相対主義の問題、倫理問題

・相互独立的自己から相互協調的自己へ(和、間人主義)

・sprituality, personality, value, attitude, act, opinion

利他的行動研究受講生(ボランティア実習)へ

実習場所
東灘地域助け合いネットワーク

実習日時の変更(重要!!)
以下の日時のグループは他のグループの実習日時との重複があるので、日時を変更し、次回の講義の際に変更日時を提出して下さい。
・4月28日① グループかつーん
・5月16日③ グループかつーん
・5月18日④ グループさくら
・5月19日① グループさくら
・5月26日④ グループかつーん

保険加入の確認
・学生教育研究災害傷害保険、学研災付帯賠償責任保険
・授業以外でボランティア活動をする場合はボランティア活動保険(年約500円)

フィールドノーツの携行
 実習日時、NPOスタッフのサイン、実習内容、気づき

名札
 神大ボランティア・グループ名
 氏名(見やすい大きい字)

ボランティア活動の留意点
・挨拶
・相手の思いを確認するコミュニケーション
・明るい態度
・学ぶ姿勢
・信頼関係とプライバシーの尊重
・活動組織のルールを尊重
・自分の立場と役割の把握
・苦しい状況になった時にはそれを認め、周囲にサポートを求める勇気
・事前の準備と状況に即応できる柔軟な心

その他:
実習とは別に、軽度発達障害の子ども教室のアシスタント希望者募集

新刊『知のツールボックス 新入生援助集』

知のツールボックス 新入生援助集専修大学出版企画委員会/編、専修大学出版局

新入生のための大学での勉強の仕方指南。先生へのメールの送り方、メディアリテラシー、論理的に話す方法、使えるノートのとり方、プレゼンのコツ。

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新刊『利他性の経済学』

利他性の経済学舘岡 康雄 (著)、新曜社
欧米ではすでに研究が進んでいる分野。経済行為に利他と支援の理念を取り組むとどうなるのか。

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