稲場圭信の研究室 Keishin INABA

利他主義・市民社会論、ソーシャル・キャピタルとしての宗教に関する研究、宗教社会学:::稲場圭信(大阪大学大学院教授) Keishin INABA(Ph.D.)'s site for the study of altruism, civil society and religion as social capital.

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『災害支援ハンドブック: 宗教者の実践とその協働』

新刊のご案内

宗教者災害支援連絡会 (編集),
蓑輪顕量, 稲場圭信, 黒﨑浩行,葛西賢太(責任編集)
『災害支援ハンドブック: 宗教者の実践とその協働』, 2016年6月、春秋社

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新刊案内 Disaster Relief in the Asia Pacific

・Minako Sakai and Keishin Inaba, 2014 "Fostering civil society organizations for disaster relief in Japan: Challenges and prospects for sustainable future operations", in Minako Sakai, Edwin Jurriens, Jan Zhang and Alec Thornton eds.,Disaster Relief in the Asia Pacific: Agency and Resilience, New York, Routledge, pp.52-66.

災害救援マップ関連

以下、災害救援マップ関連で掲載されました。

・稲場圭信, 2013「宗教の社会貢献活動を支援するために-災害救援マップ」『寺門興隆』10月号、興山舎、2013年10月,77-83頁

稲場圭信・黒崎浩行編著『震災復興と宗教』

叢書「ソーシャル・キャピタルとしての宗教」第4巻
稲場圭信・黒崎浩行編著『震災復興と宗教』2013年、明石書店
が刊行されました。http://www.akashi.co.jp/search/s4388.html

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叢書:宗教とソーシャル・キャピタル

叢書:宗教とソーシャル・キャピタル【全4巻】明石書店、櫻井義秀・稲場圭信責任編集。第1巻『アジアの宗教とソーシャル・キャピタル 』(櫻井義秀・濱田陽編著)既刊、第2巻『地域社会をつくる宗教』(大谷栄一・藤本頼生編著)既刊、第3巻『ケアとしての宗教』(葛西賢太・板井正斉編著)3月末刊行、第4巻『震災復興と宗教』(稲場圭信・黒崎浩行編著)3月末刊行

詳細は以下に。
https://www.facebook.com/#!/photo.php?fbid=427030614039298&set=a.118046888271007.21707.100001970908777&type=1

『利他主義と宗教』稲場圭信(著)

『利他主義と宗教』稲場圭信(著)近刊
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詳細は以下にあります。

http://www.koubundou.co.jp/books/pages/16067.html

東日本大震災、利他の心が動いた!
いま、宗教の役割とは?

 東日本大震災という未曾有の災害に、人々の中に眠っていた思いやり、お互いさまの感覚、共感する心が再生したのではないか。利他主義、他者への思いやりと実践に関する教えをもつ宗教が今こそ社会の崩壊の危機に際して果たせる大きな役割があるのではないか。日本と英国でフィールドワークを重ね、宗教と利他主義の関係を探ってきた気鋭の宗教学者が、研究の成果をかけて熱い思いを語る、宗教人、ボランティア必読の書。

目次
I章 東日本大震災と宗教
    震災における宗教団体の動き
    救援の拠点としての宗教施設
    阪神淡路大震災からの変化
    宗教者・学者の連携の動き
    心のケアと共感する力
II章 宗教的利他主義・社会貢献の可能性
    利他主義
    宗教的利他主義
    宗教の社会貢献の定義と分類
    ソーシャル・キャピタルとしての宗教
    社会参加仏教
    宗教的利他主義・社会貢献への期待
III章 宗教的利他主義の構造
    利他主義のフィールドワーク
    JAとFWBOの社会的特性と価値観
    利他主義の意味内容
    利他的行動の動機
    利他的精神の発達要因
    シェアされるスピリチュアリティ
    新宗教信仰者の利他主義
IV章 無自覚の宗教性と利他主義
    ソーシャル・キャピタルとしての宗教への期待
    現代の日本社会
    日本人の意識構造
    日本人の宗教性
    ソーシャル・キャピタルとしての無自覚の宗教性
    利他主義への契機を含む無自覚の宗教性
V章 宗教の社会貢献活動に関する文化・歴史的背景と法制度
    社会貢献活動に関する文化的・歴史的背景
    社会貢献活動に関する制度と宗教団体
    宗教団体の社会貢献活動と社会的基盤
    宗教NGO
    アメリカのチャリタブル・チョイス
VI章 グローバル化とシェアすることの意味
    現代都市の多民族的環境
    多民族都市における信頼と憎悪
    岐路に立つ多文化主義と市民社会
    ハワイの宗教受容~現地化する灯籠流し
終章 宗教的利他主義のゆくえ
    利他行ネットワーク
    教団の社会的関わりと方向性
    公共性と宗教
    阪神淡路大震災から東日本大震災へ
    共感縁の誕生
    現代社会 今、求められているもの

阪神淡路大震災から東日本大震災へ

・阪神淡路大震災から東日本大震災へ
・共感縁の誕生
・今、求められているもの

○阪神淡路大震災から東日本大震災へ
 1995年、阪神淡路大震災が起き、ボランティア元年と言われた。支え合う社会に変わるように思えた。バブル経済が崩壊し、経済が低迷する中での阪神淡路大震災、そしてカルト団体オウム真理教の地下鉄サリン事件が続き、大きな節目の時代だった。その前から、価値観の多様化にともなう倫理観の変化によって人心が荒廃しているという見方がある一方で、時代に対応して人々の問題意識の高まりもあった。多くの書店で、「社会福祉コーナー」「ボランティアコーナー」「自然環境コーナー」などが設置され、NHKが『週間ボランティア』番組の放送を開始したのも1994年、この頃だ。しかし、その後の10数年、日本社会のあり方は変わったのだろうか。

 利益と効率のみを追求し、人を物のように使える・使えないで切り捨て、自己責任論のもと個人に過剰の負担がかかる社会。勝ち組・負け組の分断社会。地縁・社縁・血縁が奪われてゆく無縁社会。阪神淡路大震災で支え合う社会に変わると思われた日本社会が、なぜ、このような社会になってしまったのか。

 1960年代、70年代の高度経済成長は、都市人口の過密化、住宅難、交通地獄、公害問題など深刻な問題を生みだした。1970年代すでに、高度経済成長の価値に対する国民の疑問が表面化している。しかし、そのまま社会は走り続けた。そして、原子力発電はその時代に誕生したのだ。

 未来学者のアーヴィン・ラズロは指摘している。「過去になりつつある近代の価値・信念体系がいまだに私たちの社会の基盤になっている」と(『持続可能な教育社会をつくる』)。その今や時代遅れになりつつある近代の価値・信念体系とは、「人間は自然を制御できる。ものごとを進めるにあたり効率性がもっとも重要である。すべてはお金に換算できる。個々の人間は個別の存在。市場に委ねれば社会はうまく機能する」といった考え方だ。この近代の考え方が社会にあまりにも深く浸透し、日本人もそれによって動かされていたために、阪神淡路大震災の時に変わると思ったのもつかの間、社会は変わらなかったのだ。そのような考え方で走り続けなければ、ふと立ちどまった時に生きる意味の貧困に気づいてしまうからだ。その考えは、危険を知りながらも、安全神話を受容した原発依存社会の根底にもあったものだ。

○共感縁の誕生
 昨年末から、児童養護施設の子どもを支援する「タイガーマスク現象」が日本全国で起きた。人を助ける・支援するという思いが日本社会に垣間見えた。そして、未曾有の大災害に、人々が共通の問題解決のために立ち上がり、新たな連帯が生まれている。つながりがそぎ落とされてきた社会にあって、大きな変化が生まれたと言えるのではないだろうか。原発に対する安全神話が崩れ、科学技術に対する現代人の見方・関わり方も根本から問い直されている。

 今の日本社会、他者を助ける行為、利他的行為を自己犠牲とは感じない人々がいる。お互い様、そのような相互関係の心、連帯感が生まれている。私たちの中にある、苦難にある人へ寄せる思い、共感だ。あらゆる縁が弱まった社会に、今、「共感縁」が生まれたのだ。

○現代社会 今、求められているもの
様々な縁が弱まり、放り出された個人は、生きる意味の不在と自己の存在の不安定さに不安を覚える。そして、生きる意味を探す。しかし、生きる意味は、一人でいては見つからない。生きる意味は、人とのつながり、社会とのつながりがあってはじめて浮かび上がってくるものだ。時には、自らの至らなさに涙しながら、それでも人と、社会に関わっていく、その中に、何かをつかむ。そうした人が社会を変える。

今、求められているのは、人間だれもが、同時代的にさらには世代を超えて、人間としての尊厳をもって生きられる社会の構築だ。通奏低音として流れるものは「命の尊さ」。これは教育界で取り上げられている「命の教育」にもつながる。自らとともに他者をいつくしみ、自然を、生きとし生けるものをいつくしむ生き方だ。人間観、世界観、人生観に影響を与え、日常的な実践に生かされる知恵が必要だ。知識だけではなく、生き方の姿勢の変化こそが重要なのだ。

監視社会ロンドンの苦悩

「英の監視社会、反省ムード 人権重視の新政権が見直しへ」(2010年8月3日 朝日)という記事がありました。

「行き過ぎたテロ対策が、市民の自由を侵していた」。それは、400万台を超す監視カメラと移民・マイノリティに対する身体検査などの施策です。治安、人権、自由のバランスが問われる難しい問題ですが、1997年以来13年間続いた労働党政権が今年の5月に終焉し、政権交代により人権重視の方向にかじ取りされそうです。

(私は1996年から2001年まで5年間イギリスに住みました。その後も何度も訪問しています)。イギリス、ロンドンは、様々な矛盾・コンフリクトを抱えた社会です。以下にそのことを書きました。

・稲場圭信「現代都市における共存・信頼・憎悪―多民族都市ロンドンの苦悩」木岡伸夫編著『都市の風土学』2009年2月、ミネルヴァ書房、pp.244-260.



以下は、その一部抜粋です。

【“監視社会ロンドンの苦悩”の続きを読む】

新刊『社会貢献する宗教』

稲場圭信・櫻井義秀編著『社会貢献する宗教』世界思想社が刊行されました。

宗教と社会の互恵性へ――「宗教の社会貢献」という積極的なテーマを掲げ、宗教が社会問題に向き合う必要性、そのための社会的条件、社会資本としての宗教の可能性を考察する。宗教者・宗教団体が行っている様々な社会貢献活動も詳しく紹介。

恩師、島薗進先生から以下のような推薦文を帯に頂戴しました。

宗教は「自分勝手」であってはならない!!
道を求める者にとって「社会」や「一般市民」はよそ者であってよいのか。
自分たちの「悟り」や「救い」を追求する宗教は、他者のニーズに応じるべきものでもある。そう信じる人々の実態をつぶさに検討する初めての試み。

【目 次】
第Ⅰ部 宗教の社会貢献を考える
 第1章 現代宗教に社会貢献を問う(櫻井義秀)
 第2章 宗教的利他主義・社会貢献の可能性(稲場圭信)
 第3章 宗教性の行動と相互信頼社会(濱田 陽)
第Ⅱ部 社会貢献する宗教の動向
 第4章 神社神道と社会貢献の関わりを考える(藤本頼生)
 第5章 平和をめざす宗教者たち――現代日本の宗教者平和運動(大谷栄一)
 第6章 情報化社会における宗教の社会貢献(黒崎浩行・吉野航一・寺沢重法)
 第7章 地域社会における「宗教の社会貢献活動」――札幌市の宗教施設を事例に
     (吉野航一・寺沢重法)
 第8章 主要教団の社会活動に関する調査(猪瀬優理)
文献解題 宗教の社会貢献活動研究(板井正斉・葛西賢太)
*コラム10本収録

The Practice of Altruismペーパバック

Cambridge Scholars Pressから拙著のペーパーバック版が出版されました。

The Practice of Altruism
・Ruben Habito & Keishin Inaba eds, The Practice of Altruism: Caring and Religion in Global Perspective.

近年、利他主義の研究は様々な研究領域で関心を呼んでいる。思いやりの行動を動機付けるものは何か、思いやりの精神や行動を促進させる要因は何か。本書は他者に対する思いやりと宗教の関係に射程をさだめ、上記のようなアクチュアルな問題に、日本、アメリカ、イギリス、北欧、西ヨーロッパ、タイ、インドにおける11の事例研究からアプローチしている。世界的視野で、社会学、人類学、心理学などの諸研究領域を横断しながら現代社会における宗教と利他主義の関係を捉える新たな潮流を示す論文集。
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