稲場圭信の研究室 Keishin INABA

利他主義・市民社会論、ソーシャル・キャピタルとしての宗教に関する研究、宗教社会学:::稲場圭信(大阪大学大学院教授) Keishin INABA(Ph.D.)'s site for the study of altruism, civil society and religion as social capital.

「宗教者も連携 災害に備える」産経新聞、2016年9月22日朝刊

「宗教者も連携 災害に備える」産経新聞、2016年9月22日朝刊

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災害支援ハンドブック: 宗教者の実践とその協働

宗派を越え 被災者に寄り添う「支援を続ける臨床宗教師~東日本の蓄積 熊本に~」

宗派を越え 被災者に寄り添う「支援を続ける臨床宗教師~東日本の蓄積 熊本に~」

9月17日(土)熊本日日新聞 朝刊20面

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 東日本大震災は、宗教者の在り方に大きな変化をもたらした。
災害支援を通じ、超宗派での社会貢献活動が加速したのはその一つだろう。
 宗派を越えた連携と共に注目されるのは信仰に基づく継続性。
集約される言葉は「寄り添う」。

【支援を続ける臨床宗教師】

 好く晴れた8月の土曜日。熊本市中央区の日本福音ルーテル大江教会を
訪れると、玄関前の椅子に手書きの文字の掲示ボードがちょこんと載っていた。
 「お坊さんと牧師さんの喫茶店」
中に入ると、お茶を飲みながら談笑する何組かの姿が。
応対しているのは僧侶や牧師といった宗教者だ。
 九州臨床宗教師会が開設している「カフェ・デ・モンク」。
東日本大震災の際、被災した人々が無料のカフェでモンク(英語で僧侶の意味)に「文句」をでもいい、ひと息ついてもらおうと始まった慶弔移動喫茶の熊本版。

宗教者が共にもだえ苦しみますとの思いで「悶苦」もかけている。

 布教・伝道を目的とせず、病院などの公共空間で人々の悲嘆や苦しみに向き合う臨床宗教師は、東日本大震災がきっかけに生まれた。超宗派を基本とし、2012年に東北大(仙台市)に開設された寄附講座で研修がスタート。
現在は龍谷大(京都市)などでも養成されて病院や緩和ケアの現場で活動する修了生が増え、今年2月には日本臨床宗教師会も設立した。

 地域の医療や福祉との連携を視野に入れて活発的に動いてきたのが、
熊本県に事務局を置く九州臨床宗教師会。その熊本で4月、地震が起きた。

 事務局長を務める糸山公照さんは、宇城市光照寺の副住職。
地震で大きな被害を受けたが、備蓄した米を出し、近くの老人ホームに
身を寄せた避難者のために畳や寝具を提供、避難所に毎日通って声を
掛ける活動を続けた。

「まずはハード面で安心できる環境を整えることが大事」と語る糸山さんは
「東日本大震災の支援に行った経験がなかったら、こうは動けなかった」
と振り返る。

 会長で熊本市南区浄玄寺住職吉尾天声さんも、自ら被災しながら仲間とともに支援活動に乗り出し、益城町を中心に「カフェ・デ・モンク」を開催し続けた。

「何度も行き、知ってもらい、信頼関係を作っていくのが大事」と話す。
 地震から3ヶ月以上が経過したした7月26日、熊本復興宗教者支援連絡会が発足、行政関係者や市民団体も招いて第1回の会合が開かれた。それまでの緊急支援を振り返りつつ、教えや立場の違いを超え、宗教者が今後、復興にどんな役割が果たせるのかを話し合う集まりだ。

 これには先行のモデルがある。東日本大震災の直後に東京で発足、
5年間にわたって定期的に情報交換会を開いてきた宗教者災害支援連絡会(宗援連)だ。
 蓄積を活かすべく、熊本での連絡会にも九州臨床宗教師会や世界宗教者平和会議と共に構成団体に名を連ねる。

 宗派を越えての情報交換や連携の可能性を探ってきた宗援連は、
その記録や提言をまとめた「災害ハンドブック 宗教者の実践と協働」も刊行。

 宗援連世話人の1人で、調査研究と連動させながら支援を続ける大阪大学院教授(宗教社会学)の稲場圭信さんは「被災者の心だけを切り取るのではなく、共感に基づいた”寄り添いのケア”をする宗教者が、様々な縁を喪失して生を歩む人々の伴走者になってきた」とみる。

 その支援の特徴の一つにあげるのが「継続性」だ。

「中長期的に人の生死に寄り添えるのが宗教者」と稲場さん。
「地元はもちろん、遠くから気にかけてくれる存在も大きな力になる」と話す。

 大江教会で開かれた、熊本地震から3ヶ月間の支援活動を振り返る場。
「被災者に寄り添い、長く関わっていければ」との願いに賛同の声が上がる。
そこには超宗派のネットワークの強さとともに、「寄り添う」ことへの覚悟が感じられた。
                    (共同通信社 西出勇志)

「災害支援ハンドブック」(春秋社)は、宗教者と研究者の視点から災害支援で
知っておくべき情報や問題点、解決方法などをまとめた。
具体的取り組みで興味深いのは、スマートフォン用のアプリ
「未来共生災害支援マップ。
全国の避難所に加え、寺、神社、教会などの宗教施設のデータも蓄積した。

スマホでの位置情報を確認、自ら被災状況を投稿し、
会員制の交流サイト(SNS)で情報共有もできる。

http://www.respect.osaka-u.ac.jp/map/

臨床宗教師の糸山公照さんのFBから
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=651198388383083&set=a.107063362796591.15929.100004787831989&type=3&theater

毎日新聞に未来共生災害救援マップアプリ登場

毎日新聞に未来共生災害救援マップアプリが紹介されました。

毎日新聞 2016年9月1日朝刊
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未来共生災害救援マップ(災救マップ)
http://www.respect.osaka-u.ac.jp/map/

コンポジウム気仙沼 記事に

コンポジウム気仙沼2016の当日の様子が三陸新報、河北新報で取り上げられました。

三陸新報
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河北新報
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コンポジウム気仙沼2016

巨大震災絵画を自分の目で見て、体感しませんか。
東日本大震災被災地の画家、加川広重さん作、「南三陸の黄金」(縦5m40cm×横16m50cm)を前に、音楽の「コン」サートと気仙沼を語るシン「ポジウム」を一体化した「コンポジウム」を開催します。気仙沼の郷土芸能も楽しめます。参加しませんか。

2016年8月19日(金)開場17:00開演18:30
会場 気仙沼市民会館 大ホール(入場無料)
宮城県気仙沼市笹が陣4−2

プログラム
● オープニング 「大谷大漁唄い込み」
● 映像とトーク 加川広重、山内宏泰
● 合唱曲 「大切なふるさと」、「とうさんの海」、「海はいのちのみなもと」
気仙沼アマコー連
● 気仙沼を語る 底上げYouth
● 「佐賀きずなプロジェクト」 & ピアノ演奏 住江一郎
● 追悼と希望のメッセージ
● 「海潮音」、「太鼓演奏」気仙沼太鼓学舎「ね」

主催:コンポジウム気仙沼2016実行委員会
共催:大阪大学「未来共生プログラム」

後援:気仙沼市、気仙沼市教育委員会、気仙沼市PTA連合会、気仙沼商工会議所、気仙沼商工会議所青年部、気仙沼アマチュアコーラス連絡会、(一社)気仙沼観光コンベンション協会、(一社)気仙沼青年会議所、宮城県高等学校PTA連合会、鹿折まちづくり協議会、NPO法人気仙沼まちづくりセンター、㈱三陸新報社、河北新報「リアスの風」、気仙沼ケーブルネットワーク㈱、朝日新聞仙台総局、毎日新聞仙台支局、リアス・アーク美術館、南三陸町、NPO法人底上げ、気仙沼市文化協会

協賛:ありがとうインターナショナル、金光教泉尾教会、
玉光神社、東京都仏教連合会、妙智會

【お問い合わせ】
・気仙沼事務局:島田呉服店内 島田英樹
〒988-0084宮城県気仙沼市八日町2丁目2−12
TEL 0226-22-0286 email: shimada-0286@coffee.ocn.ne.jp

・大阪事務局:大阪大学大学院人間科学研究科内 稲場圭信
〒565-0871大阪府吹田市山田丘1番2号
TEL 06-6879-8068  email: k-inaba@hus.osaka-u.ac.jp

【加川広重プロフィール】
画家。1976年宮城県蔵王町生まれ。2001年武蔵野美術大学油絵科卒業。2003年より「巨大水彩展」を計15回開催。「加川広重巨大絵画が繋ぐ東北と神戸」(2013/2014/2015 KIITO神戸市)では女優竹下景子、舞踏家田中泯、建築家坂茂らが出演。2015年2月、テレビ朝日「報道ステーション」にて作品を紹介。第5回1000人のチェロ・コンサート(2015ゼビオアリーナ仙台)では、震災巨大画3部作を展示。2016年3月にはフランスで巨大画の複製を展示する展覧会「11/3/11 FUKUSHIMA」(ブルターニュ・オ・ペルシュ)に招待。平成24年度宮城県芸術選奨新人賞。

気仙沼チラシ案2最終版

第2回 人間科学セミナーのご案内

第2回 人間科学セミナー
大阪大学大学院 人間科学研究科
附属未来共創センター

「共生社会の構築に向けた アクションリサーチ」

日 時: 7月21日(木) 16:00~

場 所: 大阪大学大学院人間科学研究科
     東館 207講義室(ユメンヌ)
吹田キャンパス
最寄り駅 大阪モノレール「阪大病院前」
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1番2号
http://www.hus.osaka-u.ac.jp/access/access.html

講演者: 稲場圭信 教授
     (大阪大学大学院人間科学研究科・未来共生学講座・共生社会

近年の新自由主義、過剰に「自己責任」を問う社会にあって、「生きづらさ」に向き合い、支え合い、共に生きる「共生社会」への希求もあります。私は、宗教的利他主義・社会貢献、寺院や神社の避難所といった、あまり社会認知されていない領域で「共生社会」のあり方を探究してきました。今、それが重要となりつつあります。本日のセミナーでは、利他主義とソーシャル・キャピタルとしての宗教をテーマに、社会に関わるその研究実践を問い直します。
7月5~7日は8回目の熊本地震の被災地入り。東日本大震災、熊本地震、海外での研究実践も含めて講演します。

学外からの方は事前にメールにて出席のご連絡をお願いいたします。
お申込み・問い合わせ先: mirai-kyoso@hus.osaka-u.ac.jp
主催: 大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター


http://www.hus.osaka-u.ac.jp/ja/node/949

大学院入試情報

大阪大学大学院人間科学研究科の院入試の出願期間は、【秋期】7月25日(月)~7月29日(金)です。
昨日も九州の学生が受験の相談で阪大に来ました。検討中の大学生はHPをご参照ください。
http://www.hus.osaka-u.ac.jp/ja/applicants_for_graduate/admission.html


稲場研究室の紹介

本研究室は、以下のように設定された研究課題に向き合いながら、現代社会における課題を見つけ、研究をする場です。

宗教的利他主義・社会貢献、市民社会のアクション・リサーチ、ソーシャル・キャピタルとしての宗教、宗教施設を地域資源とした地域防災

 グローバル化が進む今、現代社会と宗教は重要なテーマとなっています。私の研究室では、現代社会の諸問題に真摯に向き合い、宗教社会学や現代社会学の理論をベースに、支え合う市民社会の構築に資する学際的な研究を構想します。フィールドワークを重視し、研究方法としては質的調査を主とします。
 災害支援の仕組みとして、スマホやPCで使える「未来共生災害救援マップ」(http://www.respect.osaka-u.ac.jp/map/)も運営しています。

大学院に入って上記のようなテーマで研究したい人は、まずはメールでご連絡ください。稲場圭信 k-inaba@hus.osaka-u.ac.jp

『災害支援ハンドブック: 宗教者の実践とその協働』

新刊のご案内

宗教者災害支援連絡会 (編集),
蓑輪顕量, 稲場圭信, 黒﨑浩行,葛西賢太(責任編集)
『災害支援ハンドブック: 宗教者の実践とその協働』, 2016年6月、春秋社

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アマゾンで購入

宗援連 5周年シンポジウム「宗教者の実践とその協働」のお知らせ

宗援連 5周年シンポジウム「宗教者の実践とその協働」のお知らせ

日時 2016年6月19日(日)14:00-17:00
会場 東京大学情報学環・福武ホール ラーニングシアター(東京都文京区本郷7-3-1 東京大学本郷キャンパス内)
   地下鉄本郷三丁目駅から徒歩8分
報告と討議
 金田諦應氏(通大寺住職)「東日本大震災から熊本地震へ―傾聴移動喫茶「カフェ・デ・モンク」の歩み―」
 栗田暢之氏(東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)代表世話人、NPO法人レスキューストックヤード代表理事)「災害支援における市民活動と宗教者・宗教団体との連携に向けて」
 新倉典生氏(東京都仏教連合会事務局長)「東京都仏教連合会の防災備災の取り組み」
熊本地震の支援に関する報告

参加自由・無料
お問い合わせ: (E-mail) info@syuenren.opensnp.jp

https://sites.google.com/site/syuenrenindex/

避難所でトイレの仏様に出会った!

「避難所でトイレの仏様に出会った!」

この度の熊本地震の犠牲になられた方々、ご家族の方々に心より哀悼の意を表し、被災された方々にお見舞いを申し上げます。

被災地の状況を現地で見て、被災者の声を聴き、私も心が痛いです。そんな中、昨日、避難所で「トイレの仏様」に出会いました。

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熊本地震の被災地では、連日、行政の職員、社協、市町村から派遣された職員、自衛隊など様々な人が災害救援・支援活動に取り組んでいる。

自ら被災者でありながら、職務を遂行する職員。ボランティア。皆、思いは同じだ。地震の沈静化を、そして、被災者の安寧を願っている。

多くのボランティアが被災地に入っている。避難所の運営の手伝い、炊き出し、被災者の自宅の片づけ、寄り添いなど、その活動は多岐にわたる。

今回、熊本地震発災後、3回目の熊本入りで、私は避難所で「トイレの仏様」に出会った。

その避難所には、仮設トイレを掃除する人たちがいる。被災者が自主的に、トイレットペーパーを取り換えたり、掃除をしている。そこに単独で参加し、掃除の合間に被災者の声に耳を傾ける僧侶のO氏。

彼は、仮設トイレをすべて手作業で拭き掃除をした。他のボランティアがしない便器内も手作業で拭く。

避難所の簡易トイレを本気で掃除するのは大変だ。21年前、阪神・淡路大震災の時、避難所となっていた小学校の仮設トイレを掃除して、あまりの異臭、大変さに音を上げたのは私だ。

O氏は、午前、午後と毎日、仮設トイレの掃除を続けた。避難所の仮設トイレが汚いと、トイレの利用回数を減らそうとする人もいる。そのために、水分摂取量を控え、体調を崩す。仮設トイレがきれいであれば、利用する人の心と体の負担が軽減される。

消毒液のにおい、便器からの飛沫も服につく。O氏の黒いシャツは、汗で白い粉が吹いていた。手は、トイレ掃除をおわって、消毒液のニオイが。その彼と握手をした。

表に出ないボランティア。地味な活動かもしれない。しかし、避難所の仮設トイレを利用している避難者は気がついていたであろう。
そう、O氏の顔は輝いていた。私は避難所で確かに「トイレの仏様」に出会ったのだ。

[大阪大学大学院教授:稲場圭信(人間科学研究科)]

追記:見ている人は見ている。感じている人は感じている。避難所の人たちに思いは伝わっています。そして、緊急車両やボランティア車両で渋滞で遅くなったにもかかわらず、避難所にたどり着いて、すぐにO氏に出会えた。縁です。大きな行政の動きとは別次元に、大切なものを感じました。あの避難所で、遠くから一目でO氏を見つけられたのは、O氏の御尊顔がひかり輝いていてからです。私はあの時の光景を忘れません。感謝です。ありがとうございます。
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