「わらべ地蔵 和みの笑み:ボランティア募り被災地に贈る活動2年目」(『朝日新聞』2012年5月14日夕刊:森本俊司編集委員)

被災地における宗教施設・宗教者の災害救援・復興支援活動の調査報告(2012年3月10〜12日)
□清凉院(気仙沼市) 三浦光雄住職、副住職のお話
布施としての地蔵祭り
「お寺の葬儀や法要はアフターサービスであり、この世にいる間に人々にお祭りや花見で楽しんでもらいたい、その楽しかった思い出の中にお寺があってほしい、という思いで活動を行っている」
「お祭りの中で踊りや歌をみんなで奉納することで、お祭りが好きだったご先祖様も喜んでくれるだろう」
「宗教の教えがどれだけ素晴らしくても、教えを伝える僧侶の人格に人々はついていく」住職は裏も表も見せられるような、気さくなお坊さんを理想としている。こういった住職の考えと同じような考えを持つ僧侶たちとは意気投合し、宗派を超えたつながりを持っているようである。
(7月の訪問時の聞き取り内容は、『利他主義と宗教』(弘文堂)に書きました。)
□「湯みえーる」温泉施設に落ちていたアルバム。近くの住宅から津波で流されてきたのだろう。2009年3月の結婚式で「すすむ」さんと「ひろこ」さんの結婚式であることが、ある写真から判明した。震災から1周忌の日に発見されるとは。泥だらけの写真をすべて集めて、袋に入れた。どこかでご本人が生きていたらお届けしたい(気仙沼、八瀬・森の学校の吉田氏に託しました)
□京都ネット(浄土真宗本願寺派 京都教区寺族青年有志現地支援ネットワーク/代表 北條悟氏)らによる気仙沼市・切通仮設住宅での一周忌法要・傾聴活動
各地で大きな追悼法要もあったが、19世帯、50人ほどの仮設住宅での法要、交流は心のこもったものだった。6時間の間に様々な思いを教えていただいた。被災地の方々は、忘れたくとも忘れられない現実があり、位牌や一周忌の法要でひと区切りしたい思いもある。しかし、被災地以外の人には忘れてほしくない。今後も継続した交流が望まれている。
□「心の相談室」実務者会議(於 東北大学)
「心の相談室」は、東日本大震災で被災された方々の弔いから悲嘆ケアまでの一貫した切れ目のない支援を行うことを目的に設立された。宗教宗派を超えた宗教者による弔いをはじめ、悲嘆ケアや医療・生活支援の専門家らが一体となった支援を目標としている。
調査にご協力くださいました皆さまに感謝申し上げます。
詳細な報告書は以下(PDF)
http://keishin.way-nifty.com/jp/files/120310-12report1.pdf
南気仙沼で祈りを捧げている遺族

「湯みえーる」温泉施設に落ちていたアルバム

京都ネットによる気仙沼市・切通仮設住宅での一周忌法要
過去の報告書は以下にあります。(7月以前の被災地訪問はネット上にはあげていません)
調査報告(2012年3月4〜7日)
http://altruism.blog56.fc2.com/blog-entry-252.html調査報告(2011年9月27〜30日)
http://altruism.blog56.fc2.com/blog-entry-237.html調査報告(2011年7月26〜29日)
http://altruism.blog56.fc2.com/blog-entry-232.html
被災地における宗教施設・宗教者の災害救援・復興支援活動の調査報告(2012年3月4〜7日)
■サンガ岩手・吉田律子さんの傾聴活動(岩手県大槌町) 自治会長の奥さん「津波てんでんこは、生き残った人たちへの慰めの言葉。皆てんでんこに逃げていない。家族を心配し、戻って津波にさらわれた人もいる。そして、色々な事情の中で、避難してきた人がいる。助けられなかった、助けられた、そういった色々な思いを抱えながら生きていく」
吉田さんはじっと耳を傾け、入居者の方々が語られたことを大切に拾い上げ、共感と応援の言葉をさりげなく投げかけられていた。入居者の方が吉田さんを「一本筋が通っている」と表現されるように、信仰に基づく揺るぎない支援の姿勢は、入居者の方たちにも伝わり、お互いの信頼関係が築かれていると感じられた。
■「わらべ地蔵を被災地へ」プロジェクト冨田睦海氏「自分自身も仏師として、わらべ地蔵づくりは「ものに気持ちをこめる」ということを見つめる良いきっかけになった。普段から言葉では「気持ちをこめて」と言っているが、改めて考えることができた。自分が作り上げた仏像について「大事にされるように行っておいで」「自分の手から放すのが惜しい」…そんな気持ちが“愛着”であり、気持ちをこめるということなのだということを見つけさせてもらった。このプロジェクトは“愛着”がひとつのテーマだと思う。」
■松島瑞巌寺「わらべ地蔵開眼供養」「東日本大震災物故者一周忌法要」 開眼供養における仏師、冨田睦海氏の挨拶は、飾らない、心のこもったものだった。被災地の外から何か支援をしたいという思いを率直に涙声で語った。支援する側の思いが強いとの見方もできるかもしれないが、その思いは被災地の方々に伝わったであろう。わらべ地蔵を受け取った被災者である一人の中年女性が「本当にありがたい」と言葉少なに語ってくれた。
当日開眼された1560体のわらべ地蔵。被災者へ心を寄せてボランティアたちが、それぞれに、まさに思い・願いを込めて取り組まれたのだと思うと胸があつくなった。一つの祈る縁(よすが)をもとに、僧侶、スタッフ、ボランティア、現地の方々の心がつながった。心だけを切り取った「心のケア」はありえず、思いを形にした様々な取り組みが被災地の方々の心にも伝わり、「心のケア」につながる。
開眼供養の前日、わらべ地蔵開眼にむけて30名以上の僧侶が準備をしていた。心うたれるものがあった。ボランティアたちが、自分が心を込めて刻んだ像には愛着がわくが、それを他者のために自分の手元から離す。わらべ地蔵を刻んだボランティアの誰もが抱く思い。その思いとともに、わらべ地蔵が津波で子を無くした親御さんのもとに、大切な家族を失ったご遺族のもとに届けられる。子を亡くす悲しみ、大切な人を亡くす悲しみ。何年かかるかわからないが、愛別離苦が少しでも癒されるように願っている。
■共生地域創造財団・川浪剛氏 夏以降、1500世帯の仮設住宅、120世帯の被災住宅に物資を配ってまわっている。10回以上通えば、被災者の方といろんなことを話してくれるような関係性ができる。「お茶のんでいかい?(お茶飲んでいきませんか?)」と言われ、自然と会話が生まれる。被災者の方は、そのようなときに、津波のことや家の修復のこと、費用のことなどをお話される。そうやって聞いたことから、他の支援機関につなぐこともある。こうした経験から、「物資を通じた心のケア」に近づいてきたな、と感じている。物資がコミュニケーションツールとなって、「丸ごとのケア」への足掛かりになっている。
■亘理聖書キリスト教会・熊田康之牧師「ボランティア活動の背景には、隣人愛の教え、隣人が困っていたら助けるのは当たり前、恵みによって支援活動をさせていただいている、という気持ちがある。キリストを模倣するように、自分が身代わりとなって、誠実に活動させていただこうという思いがある。」「行政もここ5カ月ほどは見ない。社会福祉協議会も見ない。ある程度ボランティア活動はやり終え、後はお金を出して委託してやってもらおうという感じなのではと思う。
しかし、ボランティアが来てもやることがない、というわけではない。まだまだボランティアをやりたいと言う人はいるが、その受け皿がない。コーディネーターがいないだけである。実際はやることはたくさんある。地域の人々とつながりを持つことで、いろんなことを教わることも多い。その中で、ボランティアができる場を提供してもらっている。やってあげているのではなく、共に活動していくという気持ちが大きい。このように、地元に根付いてニーズにこたえていくことが、教会の仕事なのではないか。」
調査にご協力くださいました皆さまに感謝申し上げます。
詳細な報告書は以下(PDF)大槌町で継続的に傾聴ボランティア・支援活動をしている吉田律子さんからご連絡を頂きました。仮設住宅のおばあちゃんたちも報告書を読んで下さり、喜んでいたとのこと。おばあちゃんたちが手芸で作った品、軍手のぬいぐるみは私の娘たちの友達になっています。「復興とは、一番先に被災者の心のケアではないでしようか」という吉田さんは、これからも寄り添いの活動を継続されるとのことでした。
被災地における宗教施設・宗教者の災害救援活動の調査報告(2011年9月27〜30日)
の間違い等を加筆修正しました。以下です。
・宮古市の善林寺様の聞き取り内容の記述を一部修正
・山田町の瑞然寺様の宗派を「曹洞宗」から「日蓮宗」に修正
お詫びして、訂正いたします。
なお、両寺院様にご連絡させて頂き、お詫び申し上げました。
現地での今の状況も教えて下さり、また、春以降の訪問のお約束をしました。
今週末は、大槌町などを回ります。
なお、報告書の修正版は以下にあります。
http://altruism.blog56.fc2.com/blog-entry-237.html
無料電子ジャーナル『宗教と社会貢献』のアクセス(ダウンロード)数
公開を担当して下さっている阪大の附属図書館電子コンテンツ担当者からうれしい連絡がありました。
阪大の附属図書館電子コンテンツの中で、これほどにダウンロードされているジャーナルは他にないようです。

現在、3号を鋭意編集中です。
なお数字は、本文PDFファイルが実際にダウンロードされた"本文ダウンロード数"であり且つ Google 等のクローラーロボットによるダウンロードを除去しており、確実な利用実態です。
(ロボットによるアクセス/ダウンロード数を含めている場合とそれを除去した場合とでは、数値が5〜10倍も違うそうです。)
ジャーナルは以下からアクセスし、どなたでも無料でダウンロードできます。是非、ご利用下さい。
http://shukyo-shakaikoken.seesaa.net/category/12520711-1.html「宗教と社会貢献」編集委員会
編集委員長:稲場圭信
編集委員:泉経武、大谷栄一、葛西賢太、黒崎浩行、小池靖、
小林奈央子、中西尋子、濱田陽、藤本頼生、渡邊太(50音順)
英文校閲:Scott NORTH
「震災で動いた利他の意識」稲場圭信(大阪大准教授)、(聞き手:森本俊司編集委員)
「朝日新聞」1月16日夕刊(大阪本社西日本)5面「こころ」の欄「心豊かな社会とは」

拙著『利他主義と宗教』を読んだ方から、「この時代に、このフィールドで、このような視点でキッチリ研究を積み重ねてきて下さった方が居られたということに驚きを禁じ得ませんでした」「とても刺激を受けました」とのお言葉を頂戴しました。ありがとうございます。さらに、脱字を見つけて下さいました。感謝です。
稲場圭信『利他主義と宗教』訂正:66頁の終わりから2行目、「併せ持つ可能…」は「性」の脱字。「併せ持つ可能性」にお詫びして訂正いたします。